ガス注入場所

窒素ガスをどこから入れ(ガスニードル)、どこに通すか(ガスチャンネル)ということが重要となります。
注入口としては3つ考えられます。

①ノズル注入

金型を改造せずにガスインジェクションを試すことができるのがメリットです。
しかしデメリットが多く、現在ではほとんど使われていません。

②ランナー注入

樹脂の流れと同方向に、樹脂圧の高い方から低い方へ窒素ガスを注入するので自然な流れで形成できます。
ガスニードルなどのノウハウの流出も防止できるのでベストな手法です。
しかし、ゲート口に穴が開くという問題点があります。

③ キャビティ注入

直接製品から注入する一般的な方法です。
ゲート側の樹脂圧の高い方への窒素ガス注入の際にはガスチャンネルの配置など検討が必要です。
ガスニードルが製品に残りますので、ノウハウ流出や特許関連などで注意が必要となります。

成形法

①ショートショット法

文字通りショートショットで樹脂を充填して、窒素ガスの注入で膨らませる方法です。
この手法は、樹脂の計量条件や射出条件、窒素ガスのタイミングと注入速度をコントロールできる設備が存在しなかったため大変困難な製法です。
さらに、ヘジテイションマークといわれるウエルドに似たフローマークが発生します。
(弊社では2007年度群馬県R&Dサポート事業にて、ヘジテイションマークの解決に成功しました。)

②フルショット法

フルショットで樹脂を充填し、必要な(ヒケる)部分に窒素ガスを導く方法です。
寸法精度を要求するものはこの方法が最適です。一般成形に比べて数段高い精度となり、バラツキの少ない安定した量産が可能になります。
(注意点として、ガスチャンネルの配置を検討する必要があります。)
裏側リブの根元に窒素ガスを通すイメージで、製品の全域に同じ圧力分布であることが大切です。

③ステキャビ法

余分な中肉を追い出し、捨てるキャビティを形成する方法です。
グリップ等の厚肉製品で大きな空洞を形成する場合に適しています。
ステキャビの容積が重要となります。

ガスもれ

ガスもれをしているようではガスインジェクションの意味がありません。原因を突き止め対策するために、リークチェックのスプレー等でどこから漏れているのか確認しましょう。

金型までの配管(青)

段取りの問題です。きちんと締め直しましょう。

エジェクターボックスから(赤)

ガスニードルの構造が問題です。
Oリングの配置やクリアランス、または根本的にガスニードルの構造が悪いと思われます。

パーティングから(黄)

ニードルボスの設計に問題がある場合が多いです。
ガス圧10MPaで成形出来るよう調整しましょう。

ガスの入り方

下図のようなガスの入り方から手のひらを広げたようなカエデ模様。これはガスの入り口付近ばかりがガスの圧力でパンパンになっている良くない状態です。ガスの入り口であるガスニードルの設定場所、リブやガスチャンネルにより製品全域にガスを導く様に設計しなければいけません。ガス圧力は10MPa程度で成形出来るようにガスチャンネルを設置することが重要です。
(高いガス圧で内部発泡や分子配向を阻害するような注入の仕方は寸法精度に悪影響を及ぼします。)

パンクや膨れ

窒素ガスの回収経路に問題があったり製品内部でガス注入口を塞いでしまったり、窒素ガスの回収経路に樹脂ガス等によりクリアランスが無くなってしまうとパンクや膨れが発生します。窒素ガスの吐出量が十分か手をかざして確認してみましょう。
樹脂ガスが詰まるポイントとしてガスニードル、配管(切断面も注意)、サテライトボックス(減圧弁等機器)の3つが考えられます。設備の定期的なメンテナンスで解消できますので実施しましょう。

また、製品内部で一度窒素ガスが通過した経路を樹脂で塞いでしまう場合もあります。
厚肉製品の場合、製品の中心部を通過した窒素ガスが最後の一定圧力になる段階に溶融樹脂に影響することがあります。その際ガス注入口をふさいでしまうのです。計量を下げる、注入タイミングや注入圧力で対策ができます。
薄肉製品の場合、注入されたガスが先から回り込み、すでに形成した空洞部にぶつかり塞いでしまう場合があります。ガスチャンネルの形成上の問題なので、ガスチャンネルの再構築で対策できます。

ヒケ

ガスインジェクションでもヒケることがあります。
下の断面図は窒素ガスがガスチャンネルを通ってきて、圧力均衡の位置で停止している状態です。
窒素ガスの先端にダ肉部が発生してヒケ①が発生します。

問題となるのは窒素ガス先端部に発生するヒケ②です。肉眼で見えないのでほとんどの場合は気にされないヒケですが、超外観を要求される場合に問題になります。
ヒケ①部の収縮によりヒケ②部の薄肉部が微妙に変形するため、ヒケたように見えてしまいます。


ガスインジェクションで
できること

ジュンコーポレイション
ならできること

ノウハウ/基礎知識

お気軽にご相談ください

お電話でのお問い合わせ

027-393-1375

受付時間 9:00-17:30

[ 土・日・祝日除く ]